忍びの国を読んで

忍びの国、天正伊賀の乱を伊賀目線で描いた、和田竜さんの小説です。
嵐の大野くん主演で映画化もされたので、印象にある方も多いと思います。
主人公は無門という伊賀の忍者。おそらく最強クラスの忍者だと思われます。
子供の頃買われてきた親もいない身で、ひたすら忍者というものに染まっていく生活をしています。
その無門は基本的にやる気がありません。
最強クラス。忍者という存在への適正は素晴らしいのですが、天才にありがちなモチベーション不足があります。
殺しや裏切り、ものすごくドライな感情をもつ伊賀の忍者たち。人ではないという言葉を使われて、無門一同、伊賀忍者は罵倒されます。
そんなことはあたりまえという忍者たちを読むと、なんだかものすごく切なくなります。
人間の情さえ持たせてもらえない身に落とされてしまった無門。やる気がないのも当たり前かもしれません。
侍であれば忠義を尽くし、主君に仕えることもあるでしょうが、忍者はただの雇われの傭兵です。
金を出す方に味方をする。負け戦ならトンズラしてしまうこともある。
ドライでいるしか生きれない、悲しい宿命を背負っています。そんな無門の生きる目的、それは奥さんでした。
奥さんはさらってきた女性です。伊賀の一番の忍者だからお金も生活も保障するからとさらって夫婦になった無門。
そんな奥さんに無門は小言を言われつつもベタ惚れ。そんな無門の生きがいである奥さんが、という小説です。
ラスト近く、お前らは人間じゃないという言葉を無門が使うという悲劇に見舞われても、無門はその奥さんを愛し続けます。
ラブストーリーとしての忍びの国が私は好きです。