麗しの男たちのカオスな世界『イブの息子たち』

青池保子の作品。男であり女でもあるヴァン・ローゼ族の末裔。女好きのアイドル歌手ジャスティンとワイルドなピアニストヒース、そして詩人のバージルの3人組。
ヒースとバージルはホモで、ジャスティンを男に目覚めさせようと努力中です。
そんな3人のところへ毎回変態天使が現れ、彼らは、男と女が戦っている何だか分からない異次元世界へ連れていかれます。
いろいろな歴史上人物などが登場するのですが、とにかくメチャクチャ変態カオス。
女にも男にも追いまわされる可哀そうなジャスティン。
それを助けようとするヒースとバージル。ヒースを愛してしまうニジンスキーは呪いで普段は白鳥ですが月が出るとバレリーナ姿になってしまいます。
眉間に皺を寄せ、ヒースに嫌がられることに苦悩し快感している…とすべてがそんな調子です。
そんな中に必ずマトモな美形が一人いて、ヒースやバージルと恋の駆け引きがあります。
例えばヤマトタケル、森蘭丸、アポロン、毒殺マニアのチェーザレ・ボルジアなどなど。
盲腸マニアのナイチンゲール、額縁の好きなモナリザ、空飛ぶ大仏の唇、ロミオといい仲のシェイクスピア、『穴』を発明したエジソン…とにもかくにもひっちゃかめっちゃか。
ここまで無意味にめちゃくちゃな物語は描こうと思ってもそう描けるものではないのではないでしょうか。
実際なかなかここまでぶっ飛んだ作品にお目にかかったことはありません。
スラップスティック、ドタバタ喜劇。ひとつ、好きなシーンのご紹介です。
UFO『おかまマークD』とジンギスカンと大仏が三位一体合体して超合金ホングコングに変身してジャスティンをさらって行ってしまいます。
東京タワーでの決闘。BGMは『第三の男』。
バージルと森蘭丸が『おかまマーク3』で東京タワーに降り立ち、ホングコングと対峙します。
じっとホングコングの眼を見つめるバージル…彼の流し目の威力は『ゴリラも落とす』と言われるほど。
横で補佐する蘭丸の眼もゆらゆら揺れています…ついに耐えられなくなったホングコングは空中分解…。
こんな世界に実際に行ったら気が狂うでしょうけど、でもちょっと行ってみたい気も。
よくもここまで想像力が働くものだとただただ感心の会心作です。