『鉄腕アトム』の印象的なエピソード

今回紹介したい漫画は『鉄腕アトム』で、いわずとしれた「神様」手塚治虫さんの傑作です。

印象深いエピソードはたくさんあるのですが、特に好きな「地上最大のロボット」を取り上げたいと思います。浦沢直樹さんの『PLUTO』の元ネタになったことでも知られています。

中東の某国を革命で追われたサルタンが、腹心の科学者に命じてつくらせたロボット・プルートゥは、地上最大のロボットとなる使命を帯び、世界最強クラスの7体のロボットを標的として破壊活動を行っていきます。その7体の中にはアトムも含まれており、何度も決戦を繰り返す中で、アトムの妹のウランとプルートゥの間に絆が生まれ、プルートゥも破壊を決して望んでいないことがわかってきます。

この話の最大の魅力は、プルートゥのキャラクターにあります。とにかく強い一方で、正々堂々とした決闘を好み、一度救われた礼としてアトムを見逃したり、人間は決して傷つけまいとしたりなど、ライバルキャラクターとしては実に魅力的です。

そしてロボットを破壊していく理由は「自分はそのためだけにつくられたから」という悲しさも持っています。話の途中で、敗れたら即座に自爆する機能も付けられてしまうのですが、それも淡々と受け止めるところがなおさら悲哀を誘います。

プルートゥに破壊されるロボットたちも実にユニークなキャラクターばかりで、浦沢さんが別作品で1体1体を掘り下げて描くのも頷けます。

そして、アトムとプルートゥの最終決戦の結果は実に涙を誘ってくれます。